地獄の始まりとは知らずに

ソファーでバクバクする心臓を
鎮めようとすればするほど

苦しくなり眠れない

旦那が慰めにくるかな?

誤りにくるかな?

もう大丈夫だから
今からもう一度しよう

って誘いにきてくれるはず

と心のどこかで期待しているうちに
夜があけはじめ

朝をむかえた

寝室から何もなかったように

旦那
「おはよう

 ソファーで寝れた?
 風邪ひくといけないから
 今晩はベッドで眠りなよ」

とまるで私が勝手に拗ねて
部屋をでてきたワガママな嫁を

優しくなだめる良い旦那のような
セリフに


「はー😮‍💨なにそれ

 1人で馬鹿みたい」

とため息が漏れる

重い体を引きずり朝の支度をして
会社へ向かう

私の今勤めている職場は
世間一般で大企業と言われる部類の職場で

色々な制度が整っていた

産休も育休も充実していて
職場の理解もある

旦那の転勤で旦那と同じ会社は
退職したけど

新しい職場の仕事も雰囲気も
快適だった

お昼休みはなんとなく同じフロアの
女性数人とランチをとる事が多く

仲良くなると家庭の事や
妊活の話に
自然となった

aさん
「仕事を長期休むのはやっぱり
 なんとなく不安で色々悩んでたけど

 実は今妊娠中で」

bさん
「おめでとう

 全然気がつかなかった
 まだお腹全然目立たないけど

 悪阻とか大丈夫?
 サポートするから遠慮なく言ってね」

aさん
「今4ヶ月で悪阻は軽い方だったみたいで
 大丈夫だったの」

今井さん
「おめでとう!
 
 産休育休とりまくりの私に
 わからない事は何でもきいてね」

aさん
「ありがとうございます

 本当に悩んだんだけど
 同期も育休中の人多いし
 刺激をもらったのも大きいかも」

昨日の今日で心の底から
祝福できない自分に
げんなりする

今井さんには妊活の相談をしていたこともあり

そんな私の様子を今井さんが察して

今井
「みんな色んな選択があって良いわよね

 持たない幸せもあるしね」


「ですかね、、、
 でも私も赤ちゃん欲しいな」

bさん
「ルイさん赤ちゃん欲しいんですか?

 あえて作らない選択してるのかと
 勝手に思ってました」


「そんな訳ではないんだけど

 最近はけっこう本気で考えてて
 
 今井さんに教えてもらったクリニックにも
 行ってみたんだけどなかなか結果が
 でなくてね💦」

今井さん
「先生なんか言ってた?

 本気で考えてるなら
 人工授精に早めに切り替えてもらうのも
 アリだと思うよ」

人工授精⁇

なんだか漠然と自分には関係ない世界だと
思っていた


「次回の診察の時に聞いてみます

 また相談させてくださいね

 aちゃん!私も妊活
 頑張るねー!

 身体大切にしてね」

クリニックで先生へ
人工授精したいと言うまえに

旦那がどう思っているのか?

を確認してからにしようと思い

旦那が帰宅して
一緒に夕飯を食べているときに
話し合うことにした


「今日職場のaちゃんから

 妊娠の報告があったの

 私もだんだん年齢の問題も
 今後でてくるし
 人工授精でもいいかな?
 と思ってるんだけど
 どかな?」

夫がどんな反応を示すか
全く予想できないので

機嫌を伺うように
きいてみる

旦那
「人工授精?
 
 いいと思うよ
 俺も次回は一緒に受診した方がいいかな?」

予想外に前向きな旦那の様子をみて

人工授精なら

私とのSEXから解放される?
と喜んでいる気がして

複雑な気持ちが芽生える


「とりあえずクリニックに
 問い合わせして
 聞いてみるね 

 ありがとう」

こうして私たちは

妻だけEDの疑いがある夫と
SEXする事を諦め
人工授精の道を選んだ

これが地獄の始まりとも知らずに