総合病院の受け付けで
紹介状を渡すと
子宮外妊娠ということなので早めに受診できるように伝えますね
と淡々と言われる
早めに受診してもらえるなら
よかった
午前中に診察が終われば
いったん会社へ出社して仕事をもう少し
片づけられるな
と思い待合室で過ごすが
1時間たっても一向に呼ばれ気配がない
総合病院の待ち時間すごいって聞くけど
本当なんだ
総合病院は産科と婦人科が隣り合わせで
大きなお腹の妊婦さんも
待合室に沢山いた
上の子を連れているママもいて
なんとなく目を逸らしてしまう
気持ちをそらせたくて
その場を離れたかったけど
いつ呼ばれるかわからないから
この場でじっと
待つしかない
ぼんやり時計ばかりみて過ごしていると
診察室へ呼ばれる
紹介状をみた先生が
先生
「とりあえず内診してみますね
見落としがあると大変なので
もう1人先生を呼びます」
と2人の先生で慎重に内診してもらう
指でグリグリと内診がはじまり
違和感や痛みありますか?
と聞かれる
私
「はい。少し痛いです」
さらにカチャカチャと器具を差し込む音がして
エコーを入れられて
再びグリグリされる
痛いけど我慢できないほどではない
先生a
「卵巣がこっちにあるから
これが胎嚢だな
ちょっと出血も始まってる感じだですね」
先生b
「そうですね
そう思います」
内診がおわり
診察室へ呼ばれる
「内診してみて子宮外妊娠で間違いないと思います
まだ破裂するまでに至っていない初期の段階だからはやくに見つけられてよかったですね
明日の手術であれば腹腔鏡で右の卵管切除することができるので傷もそこまで残りませよ。」
私
「え?
手術で
卵管切除したら
もう妊娠できなくなるって事ですか?
自然流産のような感じで流れる可能性もあるとか薬で治めるようなことお聞きしたんですけど
1週間ぐらい様子をみるのではダメなんですか?」
先生
「このまま何日か放置するのは
危険すぎるのでオススメはできません
卵管が破裂したら大量出血で命の危険もあるし
このまま入院して明日にでも手術するべきだと強くおすすします
それに卵管はもう1つあるのでまた妊娠はできますよ
安心してくださいね」
NOといえる雰囲気ではなく
私
「わかりました
よろしくお願いします」
力なく返事をして診察室を後にした
まさか受診して、このまま入院になるほど
緊急なことなんて
思ってもなくて保険証と財布と
スマホぐらいしか持って来なかった
手術するには
本人だけじゃなく
もう1人一緒に説明聞かなきゃいけないらしく
旦那に電話する事に
いろんな事が一度に決まり
気持ちが全くついていかないなか
旦那に電話で
「やっぱり子宮外妊娠で間違いないんだって
それでこのまま入院手続きして
明日手術する事になったの
わるいんだけどこの後病院これる?」
旦那
「え?手術?大丈夫なの?
出来るだけ早くに行くようにするね
必要な物とかLINEしておいてね」
夫の声をきくと
不安だった気持ちが溢れだし
涙が溢れてきた
旦那が入院準備を持ってきてくれ
たわいもない話をして
気を紛らわせてくれた
旦那
「お母さんに連絡した?
不安なら明日来てもらう?」
私
「連絡はしたよ
私より心配してた
あんな状態だと心配させるばっかりだから
来てもらわなくて大丈夫」
時間も遅くなってきて
明日また手術前にまた来るからね
と夫は帰って行った
病院のベッドでお腹に手をあて
「ごめんね
ごめんね
明日でお別れだね
私のところにきてくれて
ありがとう」
と泣きながら眠った
朝起きると
泣きすぎて朝目がパンパンに腫れ
腫れた目で手術前の検査を
沢山した
手術前ってこんなに沢山の検査が
あるんだ
と初めての事で驚きばかりだった
検査もおわり
点滴もはじまり
手術に向かうためにベッドに横たわる
ドラマみたいに
本当にこうやって手術にむかうんだ
と他人事のような感覚で
点滴と共に看護士さんに押されて
手術室へむかう
旦那はお別れのときに
手を握って
頑張ってね
ここで待ってるからね
絶対大丈夫だからね
と私より不安そうに
真っ青な顔をしていた
私が望んだ事で
旦那にこんな思いをさせてしまい
申し訳ない気持ちで涙がまたでる
初めての手術室は冷んやりしていて
無機質な感じがした
自分の身におこっているのに
現実味がなく怖くなりはじめる
手術台にて仰向けに寝て
血圧をはかる測定器や
右人差し指と胸には心拍や脈を測る器械をつけたり
色々処置をされ
麻酔科の先生が
「今から点滴で麻酔入れていくので
意識がぼんやりしてきますよ」
と聞いたと思ったところから
記憶が全くない
看護師さんから何か声をかけられて
目が覚める
「目が覚めましたか?
ご主人待ってますよ」
と声をかけられ、手術が終わったことに安堵する
ありがとうございます
と声を出そうとしたけど
全身麻酔で挿管してたので
喉がガラガラで上手く声が出なかった
旦那が私の手をにぎり
「手術無事に終わったよ
子宮内も綺麗にしてもらって
子宮内に受精卵がないことを確認したって
俺はルイちゃんが一番だから
ルイちゃんさえ無事ならそれでいいから」
声がうまくでなくて
うんうんと頷いて答える
旦那の言葉で涙が止まらなくなり
なんだか最近泣いてばかりだな
と思いながらまた泣いた