ブロック解除

凪くんにLINEすると

驚いたことに
すぐに着信があり

驚いてスマホをおとす

慌てて広い
深呼吸して
電話にでる

「もしもしルイちゃん?」

「うん

 久しぶり、、、
 まさか電話くれると思わなかったから
 びっくりしてる」

「びっくりしてるのは俺のセリフなんだけど

 急にブロックされて落ち込んでたら
 急に連絡きて

 あ
 今って話して大丈夫?」

「うん

 いま1人だから大丈夫」

セラピストさんと電話するのは初めて

タクミ君と一緒に暮らしていた時は
電話することはなかったので

予約を入れてから
会うまでのDMでのやり取りが中心で
電話する事はなかったから
不思議な感じがする

「ルイちゃん元気してる?

 何かあったから
 連絡くれたんじゃない?」

「うん

 プライベートで色々あって
 気持ちが沈んでる」

「そんな時に俺のこと思い出してくれて
 ありがとう

 今から会える?
 近くまで行こうか?」

「え?

 来てくれるの? 
 私、何も言わずに
 ブロックしたのに?」

「行くよ

 ブロックされたのは
 俺にも原因があるのはわかってる

 その辺の事も話聞いてもらえるなら
 話したいし
 今から1時間後に○○で待ち合わせて
 バーで少し飲みながらとか
 どうかな?

 俺がよく行くバーでよかったらだけど
 ゆっくり話せるし」

電話をきり
大慌てでメイクして

服を着替え

マンションを飛び出し
タクシーに乗り込む

待ち合わせのバーの前に

凪くんが立っている

私に気がつき駆け寄ってくる
久しぶりの凪くんは

相変わらずのイケメンで
慌てて出てきたから
釣り合わない気がして

少し恥ずかしい

私の顔をまっすぐみつめる凪くんが

「ルイちゃん少し痩せた?

 ちゃんと食べてる?」

と聞いてくれ

苦笑いしながら

「凪くんも少し痩せたんじゃない?

 美味しいもの
 今度一緒に食べよ」

と返事すると

少し考えた顔をして

「今度じゃなくて今から食べよ」

とスマホをとりだし

「もう遅いし

 ルイちゃん好きそうな店で
 やってる店あるかなー」

とスマホをさわりはじめたから

スマホを触ってる手をせいして

「大丈夫

 今日はあんまり食欲なくて」

というと

「わかった

 じゃ次回ね」

私の腰に手を回し

バーがあるビルへ案内してくれる

雑居ビルの上階にあるらしい
ビルのエレベーターは
古くて狭く

凪くんの香水の香りが
充満して
それだけでクラクラしてきた

ビルの中にある重たそうな
バーの扉をあけ

凪くんに

暗いから足元気をつけてね


私の腰にまわしていた手に
力が入った

「いらっしゃい」

 

「こんばんは

 ゆっくり話したいんだけど
 奥空いてる?」

 「あいてるよ
 どうぞ」

と薄暗くて落ち着いたバーの
カウンターの前をとおり

小さな個室に通された

店員さんがおしぼりと
メニューを持ってきてくれ

「ルイちゃん何飲む?

 俺、喉乾いてるから水割りにするね」

「じゃ、私も同じので」

「水割り2つと

 チーズとナッツもお願いします」

と注文をすませ

「久しぶり」

と乾杯🥂した

「ルイちゃんブロックしたの

 俺のことで嫌な気持ちにさせちゃった?

 掲示板のこと?」

「うん

 最後に会った時
 冷たく感じちゃったから
 勢いで掲示板みたら

 凪くんが私に話してくれた事とか
 言ってくれた言葉とか全部
 色恋営業って知って

 
 私以外にも同じようなお客さん
 沢山いるんだと思ったら
 全部嘘に見えてきちゃって

 もう会うのやめようと思って
 ブロックしたの」

「そんな気持ちにさせてごめんね

 けど掲示板に書かれてた事は
 俺のお客様を剥がしたい
 嫌がらせがほとんどで

 大半が嘘ばっかりだから」

「それは知り合いに少しきいた

 粘着質なお客さんの
 ストーカー被害にあってたんだよね?

 でも本当のこともあるでしょ」

「そうだね

 ルイちゃんみたいに
 お店通してないお客さんが
 実はもう1人いて

 その人と揉めてしまって
 すごい反省してる

 本当にごめんなさい」

「凪くんお店も辞めちゃったんだよね?

 これからどうするの?」

「辞めたって言うか
 
 実は引き抜きの話があって
 前みたいな大手じゃなくて

 小さな店に来月から在籍する事に
 なってるんだ

 でもルイちゃんがまた会ってくれるなら
 個人的でも大丈夫だよ」

「新しいお店に在籍するんだ

 そうなんだ、、、

 新しいお店決まってるなら
 私は凪くんに会う時は
 お店通すことにするね

 お店教えてもらえる?
 あっ今の時間分は
 どうしたらいい?」

「今はどこにも在籍してなくて

 完全プライベートだから安心して

 お店通すの了解です

 あんなことあったし
 その方がルイちゃん安心だよね
 
 新しいお店のイベントが来月あるんだけど
 ルイちゃん来てよ

 今までのお詫びに
 俺、チケット用意するからさ」

「イベント?
 って?」

「シーシャバー貸し切って
 
 いろんな店のセラピストが集まるんだ

 あった事ないセラピストも
 実際みれるし

 イベント前に会いたいセラピストを
 指名予約してもいいし

 当日適当に決めてもいいよ」

「へー

 モザイクなして色んなセラピストさん
 一度に見れることないから
 楽しそう
 
 友達誘ってもいい?」

「もちろん

 チケット2枚渡しておくね」

と女風のイベントチケットをもらった

「で、ルイちゃんどうしたの?

 急に連絡くれたのは
 何かあったんだよね?

 話して楽になるなら
 俺に話してよ」

と真面目な顔で私の目を見てくれる

凪くんに

ポツポツと色んな歯車が
食い違い

色んなことが嫌になった話を
明け方までした

凪くんは私の手を繋いで

目を見ながら

私の話を否定しないで

辛かったね
頑張ってるね

ずっと優しくきいてくれた

それだけの事なのに
すごく満たされた