私は相変わらず弱いままで
旦那が隠し持っている
コンドームに見て見ぬふりを続けている
聞いたとしても
私が欲しい答えなんて100%
返ってこない問いかけをするのに
意味なんてあるのだろうか?
と自分自身に逃げ道をつくりながら
隣の部屋で仕事をしている旦那に
聞こうと思えば今すぐ聞くことができる
のに重い腰が上がらない
仕事をしている旦那の部屋をノックして
ドアに手をかける
パソコンに目を落としたまま
「んー?
もう夕飯できた?
いい匂いがしてきてお腹空きてきたとこ」
ドアの前に突っ立ったまま何も答えない私に
「どうかした?何か怒ってる?」
そこで旦那は顔を上げて私をみた
きっと私は今まで一度もみせたことないような
表情をしているだろう
「ずっと考えてるんだけどね」
「聞きたくない」
旦那が目を逸らす
「あのね、、、私ね」
「聞きたくないって言ってるよな」
ダウンを着て
「俺、コンビニ行ってくるわ
ルイちゃんが思ってるような事はないよ
違うから」
旦那は私がコンドームを
見つけてしまった事を
どうやら気がついていたようだ
私はキッチンへ戻り夕飯の準備をはじめる
紙切れ一枚の結婚
手を繋ぎ続けるのは
想像以上に困難で
手を離すのは何千倍もやさしい
旦那がコンビニから帰ってきたら
私たちはまたグレーな結婚生活を続ける
私は、旦那の手を離してあげる
優しさも強さも持ち合わせていないから